製造業がサーキュラー・エコノミーに 取り組むべき3つの理由

 

工業生産や製造、精製で使用されているすべてのものが、何らかの有益な方法で無限に再利用できるとしたらどうでしょうか?

使用目的に応じて設計された製品やサービスが、使用後には分解、再設計、または原料として再び利用されるとしたら?貴重な資源がすぐに枯渇してしまうリスクを冒す必要がなくなり、結果的に、関心の高い企業の環境フットプリントは小さくなることでしょう。

サーキュラー・エコノミー(または持続可能なクローズドループモデル)の概念は、近年より注目を集めているものの、実際に製造の現場で十分に実践されているとは言い難いのが現状です。一方で、サーキュラー型のソリューションを通じて企業自身の経済的・社会的価値を高めていくということは、産業界がサーキュラー・エコノミーを実践するための明確な動機となりえます。

貴社がこの革新的なビジネスモデルを拡大すべき3つの理由をご紹介します。
 

 経済界は、『サーキュラー・エコノミー』への移行による経済的利益を享受するために必要な、システム上の変化を生み出す上で中心的な役割を果たしている ー エレン・マッカーサー財団 


サーキュラー・エコノミー型プロセスで運転コストを削減する


製造業が原材料を再利用またはリサイクルする場合、リサイクルされた材料をバージン原料の代替として活用することで、バージン原料の使用量を削減することができます。

たとえば、石油の精製プロセスで回収された硫黄から硫酸を生成し、リサイクルして再利用することで、肥料、電池、染料、洗剤、パーソナルケア製品、医薬品、特殊化学品、合成繊維、化粧品などの一連の最終製品の製造原料としてリサイクル製品を使用することができます。

このプロセスの中で、硫酸をリサイクルすると、新しい材料の保管、取り扱い、操作の必要性が減り、かなりのコストを節約できます。

材料のリサイクルは、廃棄する使用済み材料の量を減らし、コストと二酸化炭素排出量を削減するのに役立ちます。

 

資源のリサイクルでパフォーマンスを改善する
 

原料の一部は、現場でのリサイクルが可能になることで、新しい原料の納品を待つ必要がなくなります。また、納品と運搬のための雇用やトラックの維持コストが削減できます。 プロセスの最適化により、廃水の50%を再利用のために回収している企業もあります。

産業プロセスのフローを最適化する、環境ソリューション専門企業のサービスを活用することにより、企業はコアビジネスに集中できます。 こうした専門企業は、生産プロセスをより循環的なビジネスモデルに移行し、貴重な資源を節約しながら持続可能性を促進する支援をします。

 

サーキュラー型のビジネスモデルを使い、お客さまや地域社会に対して貴社の環境面での責任を説明する
 

経営者の方には、この世界の一員として、環境問題の解決を望むと同時に、企業のリーダーとして企業の収益性と成長に貢献する義務があります。

最近では、社会的・環境的責任が、単なる「よいこと」ではなく、ビジネスの重要な目標になっていると認識している企業が増えています。 

例えば、「The Business Benefits of Doing Good」と題したTEDトークの中でウェンディ・ウッドが語ったところによると、「トータル・ソーシャル・インパクト」(社会的・環境的配慮)で高得点を獲得した石油・ガス会社は、他の石油・ガス会社と比較して評価額が10%、マージンが3.4倍も高くなっているそうです。

持続可能性への取り組みが企業の収益に影響を与えるという話は、石油・ガス業界に限った話ではありません。ハーバード・ビジネス・スクールの記事(英文のみ)によると、"企業の持続可能性への取り組みに対する国民感情と、その企業が市場でどのように評価されているかの間に、初めて関連性が示された "とのことで、学者、経済学者、社会活動家の意見は一致しています。