工場排水や下水からリンを除去するだけでなく、リンを有効的に回収する技術です。
これらの技術は、従来の凝集剤を用いたリン固定化方式のリン除去とは異なり、リンの回収・再利用化を目的とした技術です。
技術概要
1. HAP法(ヒドロキシアパタイト晶析法:リン酸カルシウム)
リン酸含有排水に、カルシウム(Ca)を添加して晶析反応を進めることで排水中のリン酸をHAP結晶として固定化して回収します。
- HAP結晶は純度が高く、取扱い容易で肥料化可能です。
- 安価な薬剤を用いて、経済的にリンを固定化可能です。
- 晶析槽は高濃度スラリ型連続式で運転が容易です。

晶析槽の外観
2. MAP法(ストラバイト晶析法:リン酸・マグネシウム・アンモニウム)
リン酸、アンモニア、マグネシウムからMAP結晶を生成・分離することができます。
- Mg+NH4+PO4 → MgNH4 PO4 (MAP:ストラバイト)
- 回収されたMAP結晶は、リン(P)と窒素(N)を含むため肥料として再利用が可能です。
- 晶析槽はHAP法と同じ方式を用います。
3. フォストリップ法 リン除去回収システム
- 低濃度のリン酸を含有する排水に適用が可能です。
- 既設の生物処理(活性汚泥法など)にサイドストリーム方式として導入できます。
- 微生物と分離膜を利用してリン酸を濃縮し、清澄なリン酸溶液を得ます。
- リン酸溶液にカルシウム(Ca)を添加してHAP(ヒドロキシアパタイト)結晶を得ます。
固定化したHAP結晶は純度が高く、取扱い容易で肥料化可能です。
